Dan Warne (APC): これからお聞きしたいのは、Firefox があまり踏み込んでいない領域、つまり携帯端末への Firefox の移植です。この分野では、言うまでもなく Opera がかなり良い位置を占めており、Microsoft でさえある程度のシェアがあります。この方向への動きはありますか?

Mitchell Baker: ええ、長期にわたる動きですけれども。来週とか数か月のスパンでの話ではありません。Mozilla Foundation の使命は、インターネットでのユーザ体験を改善することであり、PC 以外のデバイスにおけるインターネットはますます重要になってきています。この分野を無視すると、私たちが育成しようとしているビジョンを達成することはできないでしょう。

というわけで、必要性はあり、この分野を研究する小さなプロジェクトも存在しています。しかし、私たちは、まず携帯に使われている技術と私たちのコアな技術とを見直して、私たちの技術をいかにして携帯の技術に適合させるかを調べるべきだという結論に達しました。この作業にはすでに着手していますが、しばらくかかるでしょう。

また、Web 全体の豊かさを、現在の、あるいは将来的な制約のある携帯端末でどのように反映させるか、についても調べています。Web や Web の機能は日に日に成長していますので、やさしい問題ではありません。この点にも重大な関心を抱いています。

現在進行中の試みは、携帯に関連した PC 中心のもので、厳密に言えば携帯の戦略ではありませんが、Firefox のユーザと携帯端末との関係を実験しています。私たちの理解では、Firefox が好まれる理由は、アドオンとカスタマイズ性、それに Firefox と拡張機能を通じて特定の情報を入手する方法です。

Joey という名前のこの実験で、私たちが調べているのは、人気のある情報を収集してそれを携帯端末に送る方法です。Web 経由で自分にメールすることができるのは当然ですが、他の方法はないのでしょうか? Firefox ユーザなら、すでに Firefox をカスタマイズして特定の情報を集める方法を持っているを持っているわけです。Firefox ユーザとして、携帯での体験をより良くするには何ができるか、です。

Dan Warne (APC): あなたがおっしゃっているのは、一種のバックエンドサービスで、あらかじめ加工されたコンテンツを携帯に送信する、といったようなものですか?

Mitchell Baker: 構成要素はいくつかあります。サーバの要素もあり、クライアントの小さな要素は、近いうちにラボで公開されるでしょう。ラボのページに情報があると思います。これは実験として立ち上げたもので、製品計画になるとは限りません。携帯に関する情報を集めてみよう、ということです。現状、多くの国で、携帯端末のユーザが要望を送るのは携帯のキャリアに対してで、直接ソフトウェアのベンダーに送るわけではないからです。

例えば私たちが、全力を尽くして人々のためになる素晴らしい製品を作ったとしても、現状ではそれを携帯端末に入れる方法は限られているのです。私たちは別の方法を模索しており、現状が変わらなければ、この様々な情報を送信するやり方にも意味が出てくるでしょう。確信はありませんが。

キャリアへの供給者としては、多分 Opera の方がより適していると思います。私たちの DNA は、ユーザと個人をターゲットにしたものだからです。今までに述べたような理由で私たちはこの実験を試しており、それと平行して技術の方も手を加えていき、どうなっていくかを見ていきたいと思っているのです。

Dan Warne (APC): 真偽の程はわかりませんが、噂によると Firefox のレンダリングエンジンのコードはボリュームのあるものだそうですね。Linux の Konqueror ブラウザのレンダリングエンジンである KHTML を Apple が採用したのもそれが理由だったと思います。Apple が Gecko (Firefox のレンダリングエンジン) ではなく KHTML を選んだ理由として、KHTML が非常に軽量であるという点をあげていました。Firefox は内部的に重たいので、携帯端末に詰め込むのはちょっと難しい、と思って良いのでしょうか?

Mitchell Baker: そうですね、どんなブラウザであっても携帯端末に詰め込むのは難しい、ということをまず言っておきましょう。Opera は携帯端末でとても良い仕事をしていますが、本格的なものではなく、Firefox が持っている機能をすべて備えているわけではありません。どんな携帯端末でも難しいことなので、これはまた別の問題です。

それでも、私たちが現在持っている技術よりも作業しやすいものが実在している、ということを言っておかなければ不公平になるでしょう。Apple の WebKit です。

要するに、私たちの技術が携帯でも使えるようになった暁には、私たちがコミュニティを形成できるようになった他のすべての技術も使えるようになる、ということです。私たちの技術に伴う、拡張機能や XUL 言語やその他色々なものです。

追加の機能であれ、レンダリングエンジンをもっと小さいものや組み込みしやすいものにすることであれ、私たちには他の追随を許さない強みがあります。前にお話ししたようなコミュニティの形成、これはおそらく他に例のないものでしょう。

とは言っても、コアを組み込みやすく、開発しやすいものにするために、私たちが懸命に作業しなければならない、という点には変わりありません。Firefox や Mozilla の技術で皆さんが得ている利点をすべて得られることを目指しています。